ライブそのものはすべて一度きりで、同じものは二度とない。しかし、そこには変わらないものも確かにある。
そのことを改めて感じさせたライブだった。
アンジュルム史上最大のソロライブ。OGの思いや、横アリにまつわるかみかさ双子の約束も思い起こされる。開催が決まるとすぐに特別なライブであることを悟って、私も必ず横浜アリーナでアンジュルムを観たいと思った。
やんちゃな少年のように快活な雰囲気をまとい、スマイレージ2期メンバーとしてアンジュルムになってからも歴史を紡ぎ続け、今では多才で魅力あふれる人間性を兼ね備えた大黒柱・竹内朱莉。
そのタケの卒コンはまさに、スマイレージとアンジュルムの今まで、そしてこれからが凝縮されたライブであった。
楽曲やセットリストをまだご存知でない方にはぜひご確認いただきたい。
タケは「スマイレージ」名義時代に在籍していたメンバーとして、最後の一人となっていた。
そのタケの卒業によって、今回数多く披露されたスマイレージ時代の楽曲は、オリジナルメンバーが現役のユニットメンバーとして歌唱する、最後の機会となった。
アンジュルムは名実ともにスマイレージの後継、というか現在のスマイレージそのものなのだが、やはり楽曲リリース時のメンバーが居なくなってしまうのは大きな寂しさがある。
ここで少し話が逸れるが、私自身とアンジュルムの間にはどこか運命的なものを感じている。と言っても、父親もスマイレージのファンだったというだけのこと。
これは私がアンジュルムのオタクになってから知ったことである。彼はわだちょ推しだそうだが、遺伝というのは恐ろしいもので、私も当初からスマイレージメンバーではあやちょ推しである。
そんな父が当時目の当たりにしていたスマイレージとしての瞬間を私が見ることは叶わない。しかし、スマイレージ曲をタケが歌う、タケと共に歩んできたいまのメンバーが歌っているその横浜での瞬間は、父と同じものを観ている、不思議な感覚がそこにあった。
これこそが「アンジュルムは名実ともにスマイレージの後継、というか現在のスマイレージそのもの」という、理屈ではなく感覚なのだろう。
ある意味では、"スマイレージとしての最後"であったこのライブ。最後の最後でユニットとしての歴史と、自分の背景にあった歴史をも感じることができた。
この気持ちも、このときのセットリストを私の中でより特別なものにさせているのだと思う。
心を繋ぐ、見えない赤い糸。
竹内朱莉から上國料萌衣へ。強い絆で繋がれた二人によってリーダーは引き継がれ、Bluetoothの時代にこれからもアンジュルムの歴史が続いていく。
アンジュルムが再び横浜アリーナの舞台に立つときも、あの時と同じ瞬間は二度とない。
人生はいつだって一度きり。
それでも過去のあなたにも、いまのあなたにもあることでしょう。変わるもの、変わらないものが。